品質(2)

2016年3月20日、日曜、晴れ。◉デスクワークの従業員は、頻繁に携帯を使う。中国人は取引先ともチャットが多く、仕事か私用か判別は難しい。それでスクロールの状態と表情から、おおよそを想像する。ウチで一番暇なのは品質保証部に見える。部長は地位として同列なので、彼女の仕事ぶりに意見はできない。実態もよく分からんし。◉ただ言えるのは、不良品が多くても「 品質保証部長、どうなっとるんや?何とかせえよ!」という声は、上からも下からも全く無い(と思う。日本人が知らないだけで、品質改善のため、中国人同士で口角泡を飛ばす激論を行い、謙虚にひた隠しにしている可能性がゼロでは無いが)自分が出向して以来二年以上、ずっとそうだ。つまり現場の指導や、監査の機能は無い部署のなのだろう。◉品質保証部は日本にもあり、品質マネジメントシステムも同じISOに基づいている。ただし中華人民共和国のISOは「人民の、人民による、人民のためのISO」なので、日本とは違う面があるかも知れない。だから同じ漢字を用いても意味が違う場合もある。人民解放軍は、人民を解放するべく、人民に接しているか。◉不良があると会議を開き、現場が原因と対策を提出する。改善策や手順も決まる。同時に、それを守れない事も皆了解している。自己判断力(自己都合とも言う)に秀でているので。彼ら自身『中国製は信用できない』のだ。故に、見事に品質悪いわ、中国死ね!!

映画(6)『エアポート2015』ネタバレ

2016年3月10日、木曜、晴れ。◉モノ好きが喜ぶ粗製乱造B級作品を見る。ダラス発の旅客機が変な雲に突っ込む。昼間のはずが、雲を出たら夜でした。ハイテク計器が全部ダメで、無線も応答がない。隣を戦闘機が飛んでいる。メッサーシュミットMe262、ナチのジェット機だ。乗客の歴史学者が状況分析する。「我々は今、1940年のフランス上空にいる!」◉あ、コレSFじゃん。名作『大空港』に始まるシリーズとは無関係で、タイトルは商売の都合による。◉戦闘機は攻撃するが、ベテラン機長は被弾しながらもテクで振り切る!(おおっ)CGはショボいが、このドッグファイトは新しい!そもそもMe262自体、映画でほとんど見た記憶がない。大体当時、実戦配備されてただろうか?◉驚く事にこれには合理的な説明がある。機長はイギリス軍少年兵との交信に成功する。燃料が少なく、着陸場所を要請するうち、戦況が史実と異なるのが分かる。「これは別の第二次大戦なんだ」(おおおっ)連合軍が負けそうだ。さあ、どうする機長!歴史を正せるのは君達だけだ!◉この他にも、スチュワーデスが消火器で乗客と格闘したり、故障した車輪を乗客と協力して開いたり、かなりヤルのだ。◉もちろん敵の逆襲がある。しかし度胸一番、機銃掃射もロケット攻撃も切り抜ける。ドイツ空軍の精鋭が束になっても敵わない。アメリカ機長すっげー!◉だからB級になっちゃうんだよ。やり過ぎなのよ。

喫茶店

2016年3月5日、土曜、曇り 。◉いきなり春が来た。午後三時、気温二十四度。オシャレに外でブログを書こう。広場のロータスカフェまで歩く。メニューの一行目にあった咖啡冰激淋(coffee and ice cream)と言うものを注文する。32元、かなり高い。期待したのは日本で言うコーヒーフロートである。大量の氷で冷やしたコーヒーの天辺に、アイスクリームを乗っけて欲しい。◉結果は予想に反して、カクテルグラスに少量のコーヒーを注ぎ、アイスクリームを落としたものが来た。氷は無い(溢れちゃうわな)。やや見つめていると女店員が「注文違った?」みたいな表情をしたので、「OK、OK」とリアクションを返す。◉コーヒーは温かく、そしてメチャ濃い。クリームの甘さを中和(その必要の是非は別として)するためか。スプーンが添えられ、ストローは無い。力点はアイスクリームの方に有ったのだ。斜め向こうの女性が、すまして匙で掬って食べている。あなたソレ美味しいですか。こういうモノ、知らなかった私が悪いのでしょうか。◉ともあれアイスクリームを先に食ってしまえば、苦〜いコーヒーが残るだろう。それに砂糖を加えて飲むのはアホらしい。溶けないだろうし。考えた末、やはり融和策をとる。アイスクリームをコーヒーに溶かし、ゾル状の液を啜る。ただ見た目がドロドロして、すこぶる美しくない。文字通りの泥沼化で、オシャレもクソもありません。

協力

2016年2月27日、土曜、晴れ。◉来週、日本人が三人来社するので、色々と準備をしている。コスト低減が課題の昨今、経費を喰う海外出張は痛い。となれば期間内で確実に成果を得たい。事前準備には力が入る。◉今回、自分は準備の主導的立場にない。負荷は他部署が大きい。こういう場合、日本側は日本人同士協力すべきと考える。それは筋としては正しいが、現実はそうならない。日本人は大抵小人数で、大抵は何れかの部署の職長である。そうなると原則的に他部署には口出ししない。ケンカになるので。まずは横目で見てる。アレじゃ間に合わんぞと思っていても。◉もちろん要請があれば手を貸す。ただ補佐するには、畑違いの仕事を理解する必要もある。それは説明するのも聞くのも大変だ。その部署では常識でも、僕にバックグラウンドがない事はうまく処理出来ない。中国人スタッフは対日的には頼りにならん。作業量が多く複雑なほど、結局は一人で問題を抱え込む。◉「仕事が大変で人の手を借りたい時は、まず作業をパートに分ける。自分しか出来ない作業は、全部後回しにする。逆に他所に振れそうな作業は最大限に吐き出す。人に依頼する時は、緊急度に応じて順番と期限を指示する。ポイントは作業を可能な限り単純化する事。それによりより多くの人の協力を得られます」かつて教わった。◉しかし他部署間でそんな事ができれば、有能な人材である。自分を含め、中国に出向にはならん。

爆買い

2016年2月20日、土曜、晴れ。◉中国での手当を貯めると、日本で使える。正直、この点は経済的に少し助かる。今回の休み中に、思案していたMacBook Proを買った。旅券を持って行き免税を申告したら、うまく行った。海外滞在二年以上、帰国二週間以内とか色々条件がある。エディオンの窓口で結構時間がかかった。日本人が申請するのは、まだレアケースとの事。◉商品は持ち出すのが前提だから、旅券に書類が貼られ、出国時に日本の税関に申告しなくてはならない。Macはもちろん手荷物にしたが、セントレアで書類との照合はなかった。「今では一万件(毎日?)とかになっちゃうから、その箱に書類を入れてくれればイイです」と言われた。◉日本ではあられ、煎餅の類いもたくさん買う。中国で自分が一番不自由するのがコレなのだ。スーツケース一杯分買うので、近所のマックスバリュで、毎回変な目で見られる。◉風邪薬や解熱鎮痛剤も大量に買う。中国では、ちょっと風邪気味だとすぐ薬漬けになって「だから大丈夫」と自分に言い聞かせているので、アッと言う間に消費してしまう。◉帰国前日に、もう一度家電量販店に行った。自分の部屋のエアコンがこわれて(1997年製だから仕方ない)、これも銀連カードで買ってしまう。取り付け工事は、中国に発った後だし、自分が使えるのは秋以降だが、買うには今が一番安いのだ。考えようでは、これらの消費行動も爆買いである。

映画(5)

2016年2月10日、水曜、晴れ、春節休み。◉『STAR WARS フォースの覚醒』をやっと見る。エピソードⅦ、日本語字幕。SWの価値は(主としてアメリカ人の)男の子が夢想するカッコイイ世界を、本気で映像化した点にある。宇宙が舞台なのは、それが最も派手な設定だからだ。◉少年の夢なので、理屈は二の次である。善玉、悪玉、宇宙人。ロケット、ロボット、光線銃。海賊、チャンバラ、お姫様。何でもありを、全九作でどこまで詰め込めるかが勝負。◉ここから先は観てから読んで欲しいけど、そもそも今回のお話は、一作目とほぼ同じだ。見せ場は各場面の作り込みで、例えばタイファイターの操縦が細かく見られる。あの飛行音がイイです。宇宙人酒場を仕切る、トカゲとネズミの合体みたいな 女主人も面白い。今回はヨーダが出てこないからね。何となく『ブレードランナー』でロボット蛇の鱗を分析する、エンジニア婆を思い出す。◉前三作で、大集団の合戦が多かった反省(『指輪物語』の方が迫力があった)からか、今回は接近戦が多い。帝国軍のトゥルーパーの一人が、真っ白い装備を脱いで現れるのが黒人で、それが良心に目覚めて反乱軍に寝返るのは、今のハリウッドのバランス感覚か。◉主人公は女性に代わったが、ボーイッシュな女優なので、ルーク・スカイウォーカーとキャラ的に大差ない。今後の変化に期待する。個人的には、秋元才加が演ればもっと良かったと思います。

寒波

2016年1月31日、日曜、晴れ。◉先々週末から寒波が来た。氷点下九度にまでなるのは、無錫では珍しい。北京出身の総経理が、こっちの方が冷たい言う。北京は氷点下二〇度にもなるが、空気がカラカラに乾燥していて、寒さはその方が楽らしい。◉土日の休日は、びゅうびゅうと風が鳴るのを聞いた。部屋の出入口の向う側は通路で、カーペットが敷いてある。対面はガラス戸で、外の景色がよく見える。間隔を置いて、通気用の鎧戸があり、そこから寒風が吹き込んでいた。これじゃ外と大差ない。◉部屋のドアは、団地の鉄扉みたいに頑丈ではなく、普通の屋内仕様なので、密閉が甘くて冷気が侵入して来る。外に出るのは当然イヤだから、ダウンジャケットを着て、靴下を履いて、上掛けを二枚にしたベッドで、テレビ(シガニー・ウィーバーが、女性初の合衆国大統領を目指す)を見ていた。エアコンの設定温度を三〇度にしても、天井付近は生暖かくなるが、部屋全体が薄ら寒い。電熱器も併用した。本当だろうかコレ。◉休み明け、同僚が会うや否や「水は大丈夫か」と聞いて来た。「日曜から断水している」我が家は影響なかったが、ビルの送水管の一部が凍って破裂したのだろう。断水は夜になっても復旧せず、被災者のトイレは2階のレストランを、シャワーは別棟のフィトネスジムまで歩いて行き、温水プールの設備を使う事になった。わはは、そりゃ悲惨。結局、彼は以前のホテルに疎開しました。