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ギターマン

2015年11月29日、日曜、曇り。◉朝、二階の食堂でギターマンに会う。彼はこのアパートの住人ではないらしい。一階に下りる時は一緒の事があるが、上階に向かうエレベーターで同乗した事はない。ただ朝食は、いつも此処のビュッフェのようだ。◉ひょろんとノッポで、中国人に多い丸刈り頭の青年だ。二十代前半か。顔はきゅうりっぽく、目鼻立ちはアホの坂田系というか、まあ二枚目ではない。ニヤニヤしている事が多く、歩き方が少しドタドタしており、声が大きめだ。食欲は旺盛で、モリモリ食う。やや注意欠如多動性障害の傾向を感じるが、全体としてフレンドリーな男である。◉対面用のテーブルで斜向かいになる事が多い。自分は壁を背に店を見わたす席を好み、彼はその真反対の座り方が好きらしい。言葉は交わさないが、片手であいさつ的サインを交わす。たまに対面で同席する事もある。◉今日、紫芋のお粥を掬っていたら、彼がピタっと俺の直ぐ真後ろについた。この異常に肉薄して平気である感覚も、ADHDを疑う理由である。鍋の蓋を閉じず、そのままオタマを手渡しすると「サンキュー」と応えた。◉土曜日曜の朝、彼は決まってソフトギターケースを背負ってやって来る。形からすると中身はエレキだろう。一体どんな曲をやってるんだ。もしヴォーカルなら、シド・ビシャスに似ているのじゃないか?食事が済むと、ケースを床にゴンゴンぶつけながら出て行った。大丈夫か、おい。