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歌謡曲

先週カラオケで、北原ミレイの『懺悔の値打ちもない』を歌って、ネットワーク上で一位になった。その後つづいて『夢は夜開く』を歌って、これも一位を頂いた。◉嬉しく無いと言えば嘘ですが、余りにも屈折した選曲で、自分は病んでいるなと思った。◉ちなみに二曲めは園まりの歌で、藤圭子の『圭子の夢は夜開く』とは歌詞が異なる。こっちが元歌らしい。しかし今では圧倒的に藤圭子バージョンが有名だ。◉「じゅうご、じゅうろくぅ、じゅうしちとぉぉ」美貌の乙女の唄声は、怨念の五寸釘となって高度成長期の日本国を貫いた。1970年、万博の日々。当時藤圭子少年マガジンの表紙をも飾ったのだ。◉歌謡曲は歌詞だと思う。もっともインストでは歌謡曲として成立しない。「背伸びしてみる海峡を今日も汽笛が遠ざかる」という有名なフレーズ(港町ブルース)がある。子供の頃は防波堤のコンクリート壁が、視界を遮って邪魔なんだと思っていた。◉もちろん違う。つい先ほど港を出たその連絡船は、今しも水平線に消えようとしている。岸壁の彼女はそれを忘れられない。眼はいつまでも船影を追い続ける。無駄な事とは分かっていても、つい背伸びをする。そんな僅かな視差を利用してでも、彼女はそれを見失ないたくない。◉汽笛が聞こえる。本当は、その船はとうの昔に去った。しかし今日も女は海峡を見つめる。彼女の恋慕の情は行き場もなく、今も海の上をさまよう。◉ああ俺ってば日本人だ。