接待

先輩からもっと接待した方がいいと助言された。『営業なんて、男芸者になるしかないじゃん』と言う。ああそれ、全く正しい。そう思う。◉相手は男で、ゴルフはしない、単身である。普通、他に楽しみといえば、飲み食いと女性だ。私もゴルフはしない。飲み食いは好きだ。女性も普通に好きだ。だけど夜の接待は下手だ。◉いちばんの問題は、誰とでも分け隔てなく会話ができない。時々お客を前に、恐ろしい空白の時間が生じる事がある。営業として重欠点だが、これはもう資質です。諦めてください。◉さらに問題は二件目で、女性がいて、お酒があって、お客がいて、カラオケ歌う、あれが正直に言えばハズカシイ。実際にはそこそこ周りに合わせているが、心底では距離感が分からんというか、あれで“発散”できるのでしょうかと悩むというか、大体、あれそんなに楽しいか?◉大抵は二件目の方が金もかかる。だから楽しまなきゃイカン。楽しめないのは罪だ。そう思って楽しむ努力をしている。まあお客が楽しければ、それだけで良いのだが。◉理想を言えば、二件目は漫画喫茶が望ましい。お客は『進撃の巨人』を、私は『宇宙兄弟』を、お互い心ゆくまで読む。会話は一切ない。もちろん好きなだけ飲み食いして構わない。満ち足りたひと時。3時間パックくらいかな。夜更け、心地良い疲労感が脳に沈潜していく。時間がきたら感想を述べあって笑顔で別れる。タクシーチケットを使っても多分この方が安いと思う。けど、あり得んな。