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通訳嬢(2)

通訳嬢を泣かせてしまった。◉お客から頼まれた、新幹線の切符の値段が知りたかった。購入済みのはずだから、総務の誰かに訊いてほしいと頼んだ。◉しばらくして彼女から「送りました」と言ってメールが来た。そのアクションもやや不思議ですが、送ってくれたのは時刻表画面のJPEG画像、複数枚であった。◉ちがうのちがうの、切符はもう買ったの。知りたいのは金額だけなの。◉そう言うと彼女は、ですからそれはこれですよ、と画面を指差す。画面には一等座だの二等座だの色々金額がある。なんせ時刻表ですから。◉じゃあどの金額?これ?適当に金額を指すと、そうですと言う。それは午前7時台の列車だ。お客が乗るのは夕方だ。おいおい、それはなんか違うだろう、いくらなんでも。◉じゃあ買ったのはどの列車なの?と訊く。それは買う時間と座席によって違います。◉ちょっと、ちょーっとまって、それもう全然噛み合ってない。もういいわ。今までの全部ナシね。もう切符は買ってあります。了の1、完了形ね。「買った・切符の・値段・知りたい」これ以上簡単にできないぞ。◉すると彼女も自分の携帯の画像を出してきた。新幹線の切符だ。切符には金額も印刷されている。それを指差して「知りたいのはこれですか!」◉そう!それ、それなの。それが知りたい。すると彼女はふたたび時刻表画面を指して言った。「それはこれと同じです!」◉まあそういった問答の果てに、彼女は泣いてしまったのだが、何処が食い違っていたのか、じつは未だに分からない。