読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

饒舌

相手がとても饒舌な場合、何かあると思う。◉同席者は時に笑顔で、相槌も打っていた。私は真顔で聞いていた。中国人は具体的な数字を提示したし、繰り返しもしてくれた。もちろん日本語。しかし文脈が理解できない所がある。それが相手の語学力の問題なのか、言い間違いなのか、意図的な誤用なのか、判別は難しい。一箇所、ある単語について質問を挿んだが、とにかく約一時間、澱みなくその話題で説明を受けた。◉ノートは持っていなかった。iPhoneに打ち込むのは追いつかない。話の大枠は掴んだがディティールは曖昧だ。自分は内容を吟味できない。そもそも全体を憶えられない。それで説明の元となった中国語の文書をコピーしても良いか尋ねた。◉中国人は「後で送りましょう」と言った。文書が開示されるかどうかは分からない。十年後に自宅に届いても「後」は「後」だしね。◉もちろん「分かったか?」と訊かれれば、私は首を縦には振らない。しかし相手は、一時間も繰り返して説明したではないか、と私の理解力を問題にできる。それに「分からないなら、何故そのとき言わない?」◉言うまでもなく、相手に口を挟ませないのが言い負かすコツだろう。理屈ではない。情報操作の一種だ。◉仕事の上での関係であっても、当然私は快く思わないし、その人を信頼できない。人間が小さいので仕返しを考える。これも感情の問題であって、理屈ではない。