菜の花

菜の花を眺めに出かけた。中国でいちばん好きなコトガラなのです。◉無錫は太湖のほとりの桜が有名で、たぶん今が盛りだけど当然見物料が必要だし、それに大渋滞になる。近所の菜の花畑はバス代往復2.4元だけで、風景独り占めである。と言ってもそんな事をしに行くのは僕だけだ。◉ホテルを出て、まず運河西路をバス停三つ分ほど南東方向に歩く。反対車線はバスが通っているが、何故かこっち側にはしばらく停留所が無いのだ。◉歩いているうちに LiangyunBridge というものを超える。ここも都市景観のビューポイントだ(と思う)が、歩いて渡っているのは僕一人である。◉バス停を見つけて139系統のバスに乗る。利用者が少ないらしくバスは20〜30分に一本しか無い。4区間乗って、新揚大橋の辺から南が沢山の菜の花ポイントだが、バスはここで運河西路を外れてしまうので、降車してあとは歩く。◉菜の花は中国では油菜花 youcaihua と言うらしい。実際油を採るために植えているのだろう。 実家の名古屋辺りでは、こんな景色は見られない。道路のすぐ横から、ずっと向こうのモコモコした民家まで、何百メートルも菜の花ゾーンが広がっている。◉目も鮮やかな黄色の花、屈託の無い緑色の茎葉、菜の花の大軍が勝鬨をあげている。本当は畑の中で菜の花に囲まれてみたいが、農家の人に怒られるかも知れないので、少し脇道に入って裏の民家の方に回ってみる。◉道の両側に土砂や瓦礫が散らばっている。堆く溜まっている所もある。菜の花ゾーンはそのゴミの山の向こうに広がっている。その真ん中を、何かブルーの荷を負って歩く人が見え隠れする。“たなかのこみちをあるくひとも”『おぼろ月夜』のフレーズを思い出した。
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