映画(2)

今年のアカデミー賞受賞式最大の収穫は、レディー・ガガが独唱した『サウンド・オブ・ミュージック』メドレー。◉ガガさん正眼の構えです。それはもう朗々と、かつ堂々と、“正統”をパフォーマンスされて僕は平れ伏しました。11歳でジュリアードに合格したそうだけど、向こうのアーティストは芸の厚みが違う。◉日本人だと、つい杉並児童合唱団をバックに『ドレミの歌』で締め括りたい。けどそんな野暮はせずに『すべての山に登れ』で終わってジュリー・アンドリュースが紹介されると、全員が立ち上がり拍手で迎える。カッコイイです。(この部分の段取り、NHKの再放送で確認しようとしたら、ガガの出演はカットされていて、がっかりと同時に記述内容がやや不安)◉映画『サウンド・オブ・ミュージック』の公開は1965年。50周年を記念してジュリー・アンドリュースの起用なのだけど、何よりもこの映画、今見てもめちゃくちゃ面白くてそれがすごい。特にテンポの良さ、今の映画と比べても、ぜんぜんかったるく無いと思う。◉冒頭、まず大画面いっぱいに広がるオーストリアの草原の中で歌うアンドリュースの空撮(だと思います)でイッキに持って行かれる。◉それから、子供との交流、笑い、家族愛、ロマンス、三角関係、ナチの脅威、大結婚式、逃亡のサスペンスなどがある。メリハリも充分、子供からお年寄りまで、どなたにもご満足いただける内容です。◉しかし時の風化に耐える最も大きな要素となったのは、佳曲ぞろいのミュージカルである点だと思う。単独のナンバーとしてもイケる曲が多く、大作だが、例えば『ウエストサイド物語』よりずっと身近に感じられる。ビデオ普及後はたぶんリピート率も高いだろう。偉大な作品であります。