同僚

中国企業に出向になって約一年になるが、最近は独りでいることが多い。◉会社に日本人はもう一人いる。仲が悪くはないが、とくに気が合う訳でもない。◉毎日社用車が日本食街に送ってくれる。日本人の常として、二人一緒なら店にも大抵一緒に行く。しかし住まいも仕事場も同じだから新しい話題に乏しいのである。◉口をきかないのも妙だから会話の材料を探す。結局はテレビ番組の事くらいである。気を使うだけだから(たぶん相手も同じ)何となく自分から別行動にしていった。◉もともと食事の時は何かを読むか、ぼーっとしてるか、テレビを見る。そうゆう人間なのです。自分の趣味趣向がオタク寄りなのも自覚している。◉ではサラリーマンらしく、上司や部下の愚痴を言い合ったらどうか。これも意外にそうならない。◉自分は営業の責任者で、もう一方は製造の責任者である。上司も部下も全員中国人だから、批判の対象は全て中国人民である。◉中国人とうまくやれないのは先刻ご承知だが、実は相手の言い分に“そりゃお前のやり方が悪い”と思ってる面があるのだ。少なくとも自分は。◉相手だってそう思ってる。はずだ。そうでなかったら、あいつはバカだと言うことになって問題はより大きくなる。◉「自分正しい、アイツ馬鹿」の小者サラリーマン感情は、ある面健康な証拠だが、呑み屋で相手を血祭に上げられるのは当人がその場に居ないからである。◉面と向かってやり合う場合は、同僚か上司か調整役の第三者が必要である。◉喧嘩は三人から始まると言うのは正しいのです。◉結果として、愚痴は言わないが、本気で議論もしない日本人幹部(一応)の構図が出来あがり、やはり何か打開策を見出さないといけません。