withdraw

2017年1月8日、日曜、曇りのち雨。◉中信銀行中華人民共和国の銀行)の口座に、預金(もちろん人民元)がまだ少し残ったままになっている。去年の夏、帰国するときに口座を閉じることができなかったのだ。日本に支店は無いので、正しく終了するには中国に出向いて自分で手続きするしかない。◉が、そんなことはまっぴらだ。銀聯カードを持っているから、銀行はもちろんコンビニでも日本円で引き出すことができる。セブン銀行なら一日十万円までは大丈夫だ。ったはずが去年の後半から様子が怪しくなった。◉ある日気づいたら五万円しか引き出せなくなり、十一月には三万円になり、十二月には一万円でも『引き出し限度額を超えています』とメッセージ(英文)が出て、全然使い物にならなくなった。◉原因はもちろん中国政府の陰謀に決まっている。預金残高自体は確認できるから、中国の全ての社会インフラが決算を迎える十二月末に向けて、元の流出にブレーキをかけたのだろう。やってらんないぞ。その前の年末はテレビが見られなくなったしなんという困った国だ。ちなみにこの件はネットでは話題になっていない。◉案の定、年が明けたら事態が改善した。一回五万円までは引き出せるようになった。手数料は一回359円だった。レートは今よくないと思う。しかし早めに全部引き出そう。何するかわからん。ある日突然『国外では銀聯カードの使用を凍結します』と言い出すかもしれんし。

悪夢

2017年1月4日、夢を見た。◉大きくて真っ暗な倉庫の中で、知らない女性と二人、お化けに怯えている。目の前には金網フェンスがあり、周りには天井にまで届きそうな堆い荷物(だろうと思う)の山が無数にある。暗いので近くしか見えない。荷物の陰には恐ろしいモノが潜んでいるのを感じている。◉フェンスのずっと奥から、何かが雄叫びをあげ両手を振り回しながら突進してきた。昔々の和服の寝巻きみたいなものを着ている。女性が捕まって殺された。そいつがどうやってフェンスを越えたのかはわからない。次は自分の番であることとを僕は知っている。しかし逃れる方法はない。◉しばらくして予想通りにお化けが襲ってきた。今度は横から来た。とても怖い。でもなんとか引き倒すことができた。お化けは、ドナルド・トランプであった。僕はそいつの金髪頭を何度も殴りつけた。トランプは痛さで涙を浮かべていた。そこで目を覚ました。◉これが今年、二〇一七年一月二日の初夢。あけましておめでとうございます。

市民カード

2016年7月9日、土曜、曇り。◉新しい赴任者を無錫市の中心部に案内する。最初に八佰伴(ヤオハン)行きのバスに乗る。市民カードでパネルにタッチして乗車、1.2元。◉ヤオハンで降り、人民中路と中山路の交差点まで歩く。交差点北東は崇安寺(チョンアンスー)、北西に大東方百貨店、南東に百盛(パークソン)、南西に廃墟デパート。交差点の真下は、地下鉄一号線と二号線が交差している。紛う方なき中心部。◉パークソン側から地下に下り、東に歩いて苏宁(スーニン)広場の超市リンコスを教える。日本食はここが一番豊富。次に反対に西に歩いて、恒隆広場に行く。ユニクロと正規アップルストアと、何故かテスラモーターズ(買っても充電できんぞ)もある。◉ここからは無錫大飯店が近いので、またバスで行く。カードを使用。湖濱路沿いの食堂「五番街」は新しくなりました。運河大酒店で大きな包子を一個食って、41番のバスで南長街へ。カード使用。市場を見物して南禅寺まで歩く。ここのバスターミナル横の路地裏で、市民カードがチャージできる。◉はずだったが閉鎖されて、ボロい貼り紙がある。数メートル先の宝クジ屋が代行している模様。行ってみる。もともと場末の景品交換所みたいな施設だったが、今度は完全に個人の宝クジ屋だ。表では、洗面器で蛇やミドリガメを売ってる。大丈夫かなあ、ココ。けどまあ「イーバイっ」百元出した。結果はちゃんとチャージできました。

人口

2016年7月3日、日曜、雨。◉二人目の出産で、長期休んでいたDTP担当が退職した。コレは痛い。中国では頭を使うポストは女性が多い。概ね男の方が使えない。 ウチの品質保証なんて全員女性だ。 ◉彼女たちは、日本に比べればかなり手堅く結婚し、そしてすぐ妊娠する。二十代前半が多いからね。二階の事務所は、いつも誰かお腹が大きい。現在八ヶ月一名、来年出産予定一名、産休一名。大丈夫かこんなで。◉街中でもすぐ妊婦さんが目に入る。二人っ子政策に転換して、ますます傾向に拍車がかかるだろう。けどさ今更人口を増やすのヤバい。そう囁くのよ、俺のゴーストが。◉日本国もまだ子供を増やそうって言ってるが、当然アレも間違いだ。年寄りが増えすぎて、それを経済的に面倒を見るのに若いやつが欲しいという話だもん。そんなのダメだろ。僕の勘では、今後人はどんどん要らなくなるのだ。人工知能とロボットが発達するからだ。◉二〇〇五年から概ね予想は当たっている。印刷業界はダメになり、ロボットは介護分野に広がり、iPodと電話の合体したモノが売れた。今後、僕の予想では、ごく一部の使える人材を輩出するため、今までどうしても発生した無駄な人口は抑制される。情報解析と制御技術とシミュレーションが向上し、金持ちは初めから高付加価値のベビーをデザインする。有用な人間だけを効率的に作り、人口を減らし地球を守る。そのようにしてユートピアが来るのだ。

映画(8)『インターステラー』

2016年6月26日、日曜、晴れ。◉朝起きて、朦朧としたまま『インターステラー』を途中から観る。もうすでに何度目かの断片視聴。好きです私。休日の午前中に違和感のないSF映画。しかし実はメチャ壮大、かつ正真正銘のハード作。ブラックホールウラシマ効果なSFである。◉骨の髄まで文系なので、科学的考証の正確さはよく分からん。だがワームホールの視覚表現など、すげえ納得行くものであった。逆に大気圏内を飛行する宇宙船は、あれで揚力が作り出せるだろうか。水ばかりの惑星の混乱は石原藤夫の『ハイウェイ惑星』を思い出した。◉そういう内容なのだが、全体には何だがしっとりと叙情溢れる作品なのだ。広大なトウモロコシ畑、本棚の幽霊、砂埃の農家。遠い星へ旅する父親と娘の別れ。道具立てがブラッドベリだと思う。昔、あすなひろしのマンガで、宇宙飛行士が年老いた恋人の元へ光になって帰るのがあり、雰囲気が似ていた。◉娘を演じたマッケンジー・フォイが良い。成長後を演じたジェシカ・チャスティンもぴったりで、木下恵介の『二十四の瞳』と同じくらい上手くいっている。ジェシカさんは『オデッセイ』(火星の人)にも出ており、科学者女優である。マシュー・マコノヒー主演で『コンタクト』との共通点も感じたが、ウィキぺディアの記述にカール・セーガンの名も見られて驚いた。 ◉パイプオルガン(少なくとも音色)の音楽が荘重で高潔そして運命的で美しい。

同僚(3)

2016年6月17日、金曜、曇り。◉退勤時刻に、隣の日本人同僚は無言で部屋を出る。バスにも先に乗っている。アパートに着くと、彼は煙草を吸いながらブラブラ歩く。僕は普通に入口に向かうので自然と距離が開く。しばらくロビーにいても来ないから、僕は一人でエレベーターに乗る。◉水曜の帰り、日本食街に行くか聞いた。行こうかと言うので、久々に一緒に食事をした。店は何処でもいいと言うので僕が決めた。二人とも定食なので、六時過ぎには食べ終わった。勘定しようかと言うと、まだ早すぎると言う。◉っんなら最初に言えよぉ。二軒目に行くなら、定食じゃ絶対時間が余るじゃん。もちろん二軒目誘ってくれたが、行かねえよ俺は。一月からやってるアレが片付くまで、絶対イヤ。まあ彼も行くと思ってないわな。半分は社交辞令か。◉駐在する日本人同士のコミュニケーションがうまく行かんのはよくある。嫁と姑がうまく行かないのと同じで、枠組みの方が先行して、結果として一緒にやってるだけなので 、仲良くなる方が稀だろう。相手はお前から情報が来ないと言う。俺は、だったら聞いて来いと思う。少なくとも普段口をきけと思う。そんな風で、会話はさらに減る。◉ある得意先で、同席した総経理が僕に話す内容と、製造責任者が僕に話す内容が、ほぼ全く別々であった。発言は交互だが、僕は関係のない二つの話題に受け答えした。お二人の心の離反の様子は、立派でさえありました。

友達

2016年6月9日、木曜、曇り、端午節のお休み。◉数日前「kabochan-rosenさんがあなたのメール(2)に⭐️をつけました」と通知をもらう。スターっ、人生初。うれしいから彼女(まあ名前から予想)の『一言でいえばブログ』に出かける。◉僕のことを「なんという偶然、大学時代の友達だ」とあった。ホントそれ?ホント偶然?だったらかなり感動だぜぃ。さて、ダンナさんがいるようだし、同性婚ではないと仮定して、彼女は何を以て僕をヒットした?推理のひとつは「booton」のハンドル名。前世紀から変えていない。それと記事の内容からだろう。◉あなたは誰ですか。まだ開始から間も無いシンプルなブログ。だけど中国では正しく全部を表示しない。予想が当たっていれば、元は結構パワフルなネットユーザーのはずだ。◉手掛かりとしては記事の短かさ。内容ではバッハの無伴奏チェロ組曲かな。けど、そもそも大学時代の友達と呼べる女性は、僕には二人しかいない。だから分かるよ。昔レイモンド・カーヴァーの短編集の事を書いたとき、『大聖堂』が大好きなんだっ!てなコメント(いやメールだったか)送ってきた君です。◉お元気そうでなによりです。友達と呼ばれるのは嬉しいです。当時を調べたくてデータを探ったよ。2000年頃はまだ自力でホームページをアップしてたんだよね。あの頃の未来に、僕らは立っているのかな。友よ、いつか日本のどこかで必ず会おう。